未成年者が会社設立
未成年者が会社設立を行うことはできるの?
現代では様々な人によって会社設立が行われるようになりました。
特に海外などを見ると、大学生などの若い人が会社設立を行い、独自の視点から作ったサービスや商品によって多額の利益を上げています。
世界的な大企業の創立者の中にも20代で会社を設立したというような人は数多くいますし、最近ではスマートフォンなどのハイテク市場においては、むしろ若い人の方が好んで会社設立をする傾向があります。
さて、そうした中で気になってくるのが日本の会社設立制度です。
それでは日本の会社設立制度においては若い人、特に未成年者は設立を行えるのでしょうか。
まず結論からいえば、これは「未成年者であっても手続きを行うことは可能」とされています。これは会社の発起人、つまり会社設立の主体となる人に対しては制限が無く、法的な契約を結ぶ能力がない人であっても可能であると解釈されているからです。
未成年者は民法上、法律で有効とされる契約を単独で締結することはできないという制限が課せられていますが、会社設立手続き上においてはそうした契約を締結できる能力を求められないため、発起人として設立ができるということになるのです。
ただし、これにはいくつかの条件があるということは忘れてはいけません。
まず発起人となった人は最初の仕事として「定款」を作ることが必要になります。そして「定款」は完成したから終了と言うようなものではなく、公証人役場にて認証を受ける必要があります。
この「認証を受ける」という行為は法律行為であり、未成年者が法律行為を行う際には親権者の同意書が必要です。
そのため、定款認証を受ける際には親権者、つまり成年者の協力が不可欠となるのです。さらに公証人に対しては印鑑証明を出す必要があり、この印鑑証明も15歳未満だと修得することができません。
15歳以上20歳未満と言うような場合には印鑑証明を取得することは可能ですが、15歳未満の場合には、ここでもやはり親権者の同意が必要になるのです。
こうしたポイントに注意さえすれば、法律上は成人していない人であっても会社設立を完了させることは可能です。
ただし注意したいのが「設立ができる」ということが「取締役になることができる」ということとイコールではないということです。
実際のところ、取締役は「会社における意思決定を行えるだけの能力がある」ということが事実上の要件になっていますから、親権者の同意が無くては意思決定を行えない未成年者の場合、取締役になるのは不適当と考えられてしまうのです。
そのため成人していない人でも会社設立を行うことはできますが、その後の会社経営に関しては成年者の協力が不可欠になると考えておいた方が良いでしょう。